かつての自分は、「必要としてくれる人」にだけ売っていた。
言ってしまえば、“262の法則”の「2」の人──つまり、元から買う気のある顧客を探す仕事だった。
だからこそ信じて疑わなかった。
「とにかく数だ。量をこなせ」と。
一定数、数を打てば「ちょうどこういうのを探してた」「面白いね、それ」そう言ってくれる人にあたる。
でも、時代は変わった。
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今は、なんでも検索できる。
知らないことはすぐ調べられる。
全てを知れるわけじゃないけど、知った“気”にはなれる。
本当に興味があれば、自分で調べて、自分で選んで、買う時代だ。
見知らぬ営業が勧めてくるものに、義理もなければ好奇心もわかない。
むしろ、警戒される。
そうして「数だけ打つ営業」は、確実に淘汰されていく。
時代が変わったのだ。
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では、生き残る営業とは何か?
それは──
「新たな気づきを与えられる営業」
これに尽きる。
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事実は一つでも、
喜ぶ人とそうでない人がいる。
契約する人としない人がいる。
それは解釈の違いだ。
だから、断られたとき、
ネガティブな反応をされたとき、
そのまま引き下がってはいけない。
営業とは、切り返しの連続。
新たな解釈を築かせる、心の技術者だ。
相手の価値観を広げる。
相手の「見えていなかった視点」を見せる。
それが営業だ。
「断り」は、こちらがまだ価値を伝えきれていないというサインにすぎない。
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「必要ない」と言われるのは、
こちらが「必要である理由」を、その人の文脈で語れていないだけかもしれない。
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営業は、技術である。
心理学でもあり、脳科学でもある。
そして何より、「人の意思決定のプロセスをデザインする仕事」だ。
・課題なら、より深く掘り下げる。
・願望なら、より強く、より大きく顕在化させる。
その上で、自社の価値と結びつけて提案する。
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より深く掘り下げれば掘り下げるほど、
提案する商材の価値は大きくなる。
より願望を強く描いてもらえればもらえるほど、
その願望を叶える手段としての商品・サービスの存在価値は、確かなものになる。
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「ニーズが顕在化している人だけを相手にしていればいい」
──そんな営業は、どんどんパイが狭くなっていく。
自らニーズを喚起し、広げ、深めることができる営業こそ、AIにもマーケティングにもできない、真に人間らしい仕事だ。
もちろんその提案をするために決済者に合わなければ始まらない。
その為には量も必要だ。
量をやることを否定しているわけではない。
伝えたいことは
量だけの時代は終わり、人間だからこそ作ることのできる営業、つまり質と量の両方が求められる時代になったのだ。
新たな気づきを与え
人の心を動かす。
これからの時代に求められる営業に進化しよう。
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