営業をしていて、うまくいかないと感じていたころ。
私はよく、自分の性格のせいにしていました。
押しが弱くて、説得もうまくできない。
感情に振り回される自分が、営業に向いていないんじゃないかって。
でも今は、はっきりと言えます。
営業は、自分の言葉で相手を動かす仕事じゃない。
相手の言葉を使って、相手自身に気づいてもらう仕事なんだ。
人は、他人の言葉じゃ動かない。
でも、自分の言葉には従ってしまう。
これは誰にでもある心理です。
だから私は、正面から説得するのをやめました。
そのかわり、「どう話すか」ではなく、
**「どう話してもらうか」**を考えるようにしました。
営業は押す仕事ではなく、導く仕事なんだと気づいてから、景色が変わったんです。
でも、ただ導くだけでは足りない
誤解されたくないのは、「お客様任せ」ではないということ。
やることは、ただ話を聞くことじゃない。
やることは、道を整え、乗せて、最後に背中を押すことです。
お客様が、気づかないふりをしているニーズや、迷いの中にある気持ちに
そっと光を当ててあげる。
「なんとなく不安だけど、踏み出したい」
そんな背中に、力強く、でも優しく、手を添える。
営業の仕事は、そういうものだと私は思っています。
脇役だけど、頼れる存在に
私は、自分が主役になる営業ではありません。
でも、それでいいと思っています。
お客様のそばにいて、ちゃんと話を聞いて、
安心してもらえるようにレールを整えて、
「ここまで来たら、もう進むしかないよね」と思ってもらえるように道を作る。
そして、しっかりと、背中を押す。
太鼓を叩いて盛り上げる、舞台の脇で支える人間。
でも、その人がいなければ物語は始まらない。
最後に
売れる営業は、「相手のふんどしで相撲を取る」。
これは、力の無い人間がする工夫じゃない。
相手の力を見抜き、活かし、背中を押す“強さ”の形なんです。
力ずくじゃなく、
でも確かに、相手の一歩を引き出す営業。
それが、私の目指してきた営業のかたちです。
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